ハードテックチュートリアル その4 〜 サイドチェインあれこれ

ETC

今日はサイドチェインエフェクトをrenoise上にて作ってみます。
renoise上でできるサイドチェインエフェクトにはいくつかの方法があります。良い点と悪い点も一緒にあげていきたいと思います。

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– winの方

(1) Windowsをつかっている方に断然お勧めなのはTwisted Lemon’s Sidekick 3です。3が良いです。4と5はFREEでないですし、改悪された感があったので僕は使えませんでした。もしかしたらもう配布されていないかもしれません。古き良き黄金のvst。

– win, macの方両方にオススメできるvst、

(2) Nicky Romero Kickstart プリセットの中から簡単に自分の好きなサイドチェインの波形を選び、またそのかかり具合をツマミで調節することができます。瞬時にfast resultが返ってくるのでオススメ。このエフェクト自体は軽いですし、なかなか良いサイドチェインツールです。

(3) LFO Tool – XferRecords これはkick startより
もっと突っ込んだside chainのかかり具合(波形)の設定ができます。言っている感じすごく良さそうなのですが、このvstをそのsidechainをかけたいパートに入れた後、そこでサンプルを鳴らそうとする(シンセなんかですとこれは絶対やると思います)と音がでなくなるのがネックです(これはrenoiseだけじゃなくてabletonでも同じなのでおそらくどのDAWでも同じかと思います)。思うにサイドチェイン波形最初の音が無くなっているところが再生されていないところでも効いているからだと思います。XferRecordsに言えば直してくれるとも思いますがちょっとめんどくさいですよね。あとなかなかその曲中のキックと良い具合に同期したサイドチェイン波形を書くのは意外と難しくbreaking the ballsコースにハマりやすいという怖さもあります。ただこれ悪くはないです。僕はこれを使って作った曲もありますし使い勝手の良いvstだと自分は思います。ペターっとしたサンプルの処理なんかにはいいかもしれません。

(4) そのtrackのオートメーション欄にてvolumeに直接オートメーションを書いてしまう。 これは(3)の応用です。気合いで解決するタイプです。ひとつのキックに対してそのキックが入っている場所だけ音をカットするようにvolumeオートメーションを書いて、それを全キックに適用するようにコピー&ペーストしていく。  これはabletonでやっている人を見たことがあります。ちょっと時間がかかりますが強力だと思います。abletonの付属のサイドチェインはあんまりかかりが速くないそうなのでhardtekやフレンチコアなどの音楽を作る方はこのような違うアプローチが必要なんじゃないかなと思います。時間はかかりますがいけたら強いです。それか今書いてて思ったんですが一回作ったサイドチェイン波形をrenoise内にストックしてそれをpresetとして使っていくのもありですね。

ここまで書いて思い出したのですが、下のようなキックが1/4小節に二回入っているところには (2)と(3)は弱いです。(4)はキックがたくさんあるところに注意して書いてもらえたら良いと思いますが、途中で複雑なものをもっとシンプルにしたい時もでてくるとは思うので難しいところです。

どれかひとつだけ使わなければならないというわけでもないので、まずnickyなんかで様子を見つつ、作りたい曲のイメージがどこかにいってしまわないようとりあえず曲作りを進めていって、あとで細かいところをオートメーションなんかで制御するというのもありかと思います。

または、 nickyまたはLFO TOOLを二つ入れるのもありです。ひとつは下のような頭に入るキックにかかるノーマルサイドチェイン(LFO TOOL上のsidechain preset5より)

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二つ目は例えばこんな感じにしてみるだとか(presetに比べてタイトなかかり具合になりそう感)。今回は適当に書きみましたがちゃんと突っ込んで書きたいときはキックの波形をみて模写するのがベストです。でも鳴りが変でなければokなので最終的には耳で判断するのが良いと思います。逆に言うと模写しても鳴りがいまいちならば他のやり方にすぐ行ったほうがいいと思います。

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そしてこの二つ目のやつをそのキックが複数なる箇所のみonにするような設定にする(またはひとつのvstのmodeを変えていく、多分できると思います)….。これも悪くないんですがそうするとさっきのチュートリアル8の3秒あたりのドガガガいってるところはどうすればいいのか。考えていくといろいろと大変です。開き直ってドガガガ止めてfill/breaks zoneにして聴かしていくのもありかと思います。こっちの方が私感としては今っぽいですが、それでも男たるものたまにはドガガガのひとつやふたつやりたい時もあるでしょう。さてどうしましょうか。

ということで、僕としては(1)のようなトリガータイプのサイドチェインが一番使い勝手が良いと思っています。LFOもnickyもタダではないのでどうせならrenoiseのnative toolでやりきってみましょう。意外と僕の周りもnativeツールだけで完結させていることが多かったりします。というのもrenoise結構普通にeffect類の性能が良かったりするので。どんどんチャレンジしてみましょう。

(5) Signal Folloer deviceを使ってみる。
これは軽くてwin/mac両方で安定しているのでオススメです。modifyも簡単です。

renoise日本語解説サイトより “このデバイスは、トラックのオーディオ信号の音量の動きを検知して、その動きで他のトラックのエフェクター・スライダーを操作する事が出来ます。 つまり、仕組みこそ少し違いますが、その動作はまさにサイドチェインであり、しかも全てのエフェクターに対してその動きを伝える事ができるんです。”

よくわからないので実際にやり方、ポイントをざっくり説明していきますね。まずは下の画面左下、ここにrenoise native pluginが入っています。ここで “signal follower”を見つけてください。検索欄に”sig”なんかと打っても出てきます。
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見つけたあと、これをダブルクリックするとtrack4(LOOP)にそのままアサインされてしまいますが、これだとちょっと役割を果たさないので、sidechainの信号を受け取るtrackをひとつ新しく作ります。
僕はいつもの癖でこれはキックの真隣に配置します。キックとその信号がきちんとリンクしてるかどうかを確かめるのにこの方が楽なんじゃないかなと思っています。

まずはカーソルをキックのtrackの上にもっていきましょう、このへんで左クリック一回しておくと確実。
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この上でctrl + T (macの方はcommand +T)を押してみます。そうすると新しいtrackが “Track 02″として生まれました。このへんは他のDAWと同じかなと思います。ここをサイドキックエフェクトのシグナル受信専用のトラックにします。
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左下のsignal followerをダブルクリックして、track2 (SIGNALとい名前に変更、色も白にしてみました) にアサインしました。

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まずやること。左隣にあるキックの打ち込みデータをtrack 2 (SIGNAL)にコピーします。

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この辺はコピーしたい箇所を囲い込みして、囲った箇所(ここではキックの1-4小節全部) を指定して、ctrl + C (macの方はcommand +C) にてコピー完了です。
したのように右クリックでcopyでもokです。
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コピー完了したらTrack 2 (SIGNAL)にカーソルを動かし、00のところの上で ctrl + V (mac: cammand + V)またはしたの写真のように右クリックを押してpasteします。ここでたとえば04の上でこのコマンドを実行するとキックが一個遅れて配置されてしますので注意です。いまの場合始まりは00ですね。
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ブーン!
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ただ、今のままだと”信号”ではなく”ただのキックが入ったトラック”なので、下の写真右下のように出音をゼロにします。
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信号の出力先を”S1:send01″にしました。ここに集まった音はみんなここのtrackのsignalに追従するように設定していきます。
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それぞれ項目を S1:send01 / Mixier / Volume / と変えてdist min / maxを以下にようにしてみました。dist maxは0dbより小さくするともっとかかりが深くなりますので一周したところで戻って調整するといいと思います。とりあえずのゴールまであともう少し。
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右の方の設定もつめていきます。アタック、リリース、あとsensitivity、またサイドチェインのかかり具合を決定する波形(自分は一番下か、下から二番目が好きです)のこれらの項目を設定していきます。
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でここで問題が発生!いま信号用に使っているキックはベースも一緒のものでしたのでずっとサイドチェインがかかった状態に!
こんな時も解決の仕方。キックがなったすぐ後でC0にてこの信号を切るようにしてみます。普通の単発キックでもこのテクニックは使えます。
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後半はこんな感じに。キックが重なったところはC8で切ってみました。ここの部分だけsidechainのかかりが少しだけshapeになります。リバースのところは例えば25の場所にいまC0入れていますがなくてもいいでしょう(ない場合はもっとがっつりサイドチェインがかかります)し、この辺は感覚で好きな方選んでみてください。
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一周回ってきて、シグナルフォロワーの各設定をこのぐらいに変更。
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さて次はこのサイドチェインエフェクトを前回打ち込んだLOOP音に適用していきます。Track名”LOOP”(今はtrack5になりました)へ行き、左下から今度は”send”を選びます。
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無事アサイン完了!
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今この状態で、track2の信号はsend1(マスターチャンネルの右にあります)へ行き、track5(LOOP)もココの信号を参照するようになっています。
言葉だとわかりにくいのですがrenoise上ではこれでサイドチェインエフェクトをかけることができます。

サイドチェイン前はこんなで

かけたあとはこちら

全部まとめるとこんな感じに!

最後に: もしこの状態でサイドチェインのかかりが気に入らなかった場合

(深すぎるとき) さっきのキックのすぐ後に入れたC0を、キックの真上でC8等に設定してみる。
(あまり深くかかっていないなと感じるとき) dst Maxmのdbを下げるといけますが、サイドチェインかけ過ぎもあまりカッコよくないので深追いしないようにするといいと思います。
あとはsensitivityやアタック、リリースの欄をいじってみると気に入ったポイントが見つけられると思います!

最後に2: もしsignal followerのエフェクトのかかりが気に入らない、または弱いを思う場合は最初に紹介した各サイドチェインエフェクトを並行してつかっていくのもありです。vstで広めの浅い穴を掘ってsignalで針穴作る感覚です。でもこれはやらなくてもいいでしょうし、LFO TOOLやvolumeコントロールだけでも完全な制御は可能だと思いますので自分の納得行くところを探してみると良いと思います。

次回はサンプルのカッティングへ!!ここからが本番だっ!!!

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